コラム · デジタルサービス

⑴SEOからAIO?その欺瞞とこれからの可能性

森本 恭平更新 約8分
中の見えない黒い箱に無数のウェブページが吸い込まれ、数本の光の糸だけが吹き出しへつながる様子を、左下の観測所が見つめるイラスト
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ChatGPTやGeminiなどの生成AIが誕生したことで、インターネット上に公開されている情報の探し方が変わるのは周知の事実である。特に、これまでSEO対策を売ってきた事業者からすれば、情報検索の根本的な変化は事業の存続を左右する大きな課題であり、「SEOからAIO」という新しい施策に注目する人たちも多い。

ツールの変化は急激でも、人々の移行は緩やかに、でも確実に進む。しかし、だからと言って、新しい方式に安易に飛びつくと、発注側は思わぬ損害を被りかねない。というのも、SEO対策と同様に、この手のサービスには、ある「構造的欠陥」が存在するからだ。

本コラムでは、全4回にわたって、私が今、考えている「SEOからAIO」への転換を巡る議論の中に浮き沈むしている「怪しさ」について考察している。私見にすぎないが、これからの情報検索におけるデジタルマーケティングを考える参考程度になれば幸いである。

AIOとは何か?

SEOは、Search Engine Optimizationの略称であり、日本では「検索エンジン最適化」と呼ばれている。SEO対策とは、人々がGoogleやYahoo! JAPANなどの検索サービスに特定のキーワードを入力して検索したときに、Webサイトを検索結果の上位に表示させる措置を意味している。

通常、検索順位が高けば高いほど、特定のキーワードを検索する人たちがそのサイトに訪れる確率が高くなる。検索キーワードは顧客属性と、その需要を反映しているため、事業者が提供する商品やサービスと一致すれば、それが売れたり、申し込まれたりする「集客効果」が期待できる。それゆえ、SEO対策はデジタルマーケティングの具体策として、検索エンジンが誕生してから今日に至るまで頼りにされてきた。

しかし、ChatCPTやGeminiなどの生成AIが誕生したことで、その状況が大きく変わり始めた。人々は検索エンジンに言葉を入れる代わりに、生成AIの「プロンプトボックス」に言葉を入れるようになったからだ。文字だけではなく、音声や画像にまで広がっている。2024年8月からは日本でも、検索結果に「AIによる概要」が表示されるようになった。これによって、特定のサイトにアクセスせずに情報を調べる「ゼロクリックサーチ」が加速した。

情報検索媒体に関わる革命的変化が起きたと言ってよい。

そして、この前提から生まれたのが「AIO」である。AIOとは、AI(人工知能)とOptimization(最適化)を組み合わせた略語で、本コラムでは「AI検索最適化」の意味で使う。ChatGPTやGemini、Googleの「AIによる概要」などが生成する回答に、自社のサイトを引用させようとする施策のことだ。ほぼ同じ概念として、GEO(生成エンジン最適化)、AEO(回答エンジン最適化)、LLMOという表現もあるが、本コラムでは総じて「AIO」という言葉に統一する。具体的には、図に示すような事象をコントロールしようと試みる施策である。

第三者は因果関係を説明できない

しかし、売り物としての「AIO」は発展途上どころか、その成立自体が怪しい。

AI検索の回答は、検索で集めたウェブページをもとに組み立てられる。Google自身も、生成AI機能は検索のコアランキングシステムを使って関連性の高いページを取得し、回答の裏付けにしていると説明している。

つまり、一つのウェブサイトは、AIが回答をつくるときの材料候補の一つにすぎない。そのサイトの側から「AIの出力を外部からコントロールできるのか?」という疑問に、根拠をもって答えているAIOサービスを、私は見たことがない。

そして、もっと抽象的で構造的な欠陥が見落とされている。

そもそも、OpenAIにせよ、Googleにせよ、生成情報に特定のサイトが引用される要件がほとんど公開されていない以上、ソリューションは仮説の域を出ることはない。彼らが明かしているのは、ゲームに参加するために必要な基本的な事柄のみだ。

それにもかかわらず、「〇〇をすればAIに引用される」と謳うサービスは、そのほとんどが結果から因果関係を説明しているにすぎない。うまくいった事例だけを拾い集め、因果関係を後付けしているわけだ。それはまるでFXを使った儲け詐欺話を説明しているみたいなもので、都合の良い事実と原因の組み合わせを切り取って本当のように論じる欺瞞的行為である。

問題解決を売るときに「多分うまくいく」などの曖昧な表現で営業を勝ち取れないのも理解できる。けれども、SEO依存で集客に不安を抱えた事業者の損失回避を望む気持ちを利用して、根も葉もないサービスを売るのは許されることではない。それは「詐欺行為」と紙一重である。

なかには、専門家が公開している情報を確認したり、自社サイトで実験したりするなどして、AIOの因果関係をSEO対策で培ったノウハウと同じように特定しようと努力する、善意の事業者もいるだろう。

だが、それでも、第三者が因果関係を完全に説明できないことには変わりがない。開発者以外は、だれもアルゴリズムの中身を説明できないのである。これが大規模プラットフォームを活用したマーケティング戦略の「構造的欠陥」である。すでに、GoogleはAEOやGEOを巡る誤解について、次のような文章で注意を促している。

生成 AI 検索の進化に伴い、それを取り巻く理論や手法も進化してきましたが、時には誤解が生じることもあります。オンラインでは、回答エンジン最適化(AEO)や生成エンジン最適化(GEO)などの用語がよく使われますが、提案されている「ハック」の多くは効果がなく、Google 検索の実際の仕組みによってもサポートされていません。

Google 検索セントラル「Google 検索の生成 AI 機能向けにウェブサイトを最適化する」(2026年9月23日最終更新)

この引用だけでAIOの存在を完全に否定できないが、数多くの誤解が横行しているのは事実だ。同じガイドは、サードパーティのツールがGoogle内部のランキングシステムやAIシステムにアクセスすることはできない、とも明言している。中身のない箱から先に売り始められることについて、事業者は注意しなければならない。

因果関係の証明不可能性はアルゴリズムの優秀さ

残念ながら、「第三者が因果関係を証明できない」という構造的欠陥は、これからも変わることがないと、私は思っている。なぜなら、外部から因果関係を証明できないことこそ、Googleが開発してきた検索エンジンアルゴリズムの優秀さを物語っているからである。

SEOの歴史を紐解くと、それは常に「ハック」との戦いだった。キーワード含有率の高さを指標にすれば、背景と同色の文字を大量に埋め込むといった問題が起き、被リンクの量を尺度にすれば、リンク集サイトが大量につくられるといった問題が発生した。その結果、検索エンジンが表示する情報の品質は順位と相関しなくなり、ユーザー体験が悪くなるという最悪な状態に陥った。

固有の条件を付与すれば、だれかがズルをして「チート」を見つけ出す。この「イタチごっこ」に悩まされてきたのは、第三者が検索順位とウェブサイトの因果関係を特定できたからである。検索エンジンは生活者にとってインターネット上の情報を収集する数少ない手段だったがゆえに、その順位を支配できれば莫大な利益を得られた。だからこそ、ハック側も必死だったのだろう。

この問題を解決するために、Googleが実行したことは大きく2つある。

ひとつは、ハックの手口ごとに対策システムを投入することだ。低品質なコンテンツを狙ったパンダアップデート、リンクスパムを狙ったペンギンアップデートはその代表例である。骨の折れる対応ではあるが、悪影響の芽を一つひとつ摘み続けることは健全な仕組みを維持するために必要不可欠だ。

そして、もうひとつは、検索順位を決める数多くの指標を複雑に組み合わせ、その重みを非公開にしたことだ。Googleはランキングシステムの名前や大まかな役割を公開しているが、どの要素がどれだけ効いているかまでは明かしていない。

こうなると、一部の指標をハックしても順位をコントロールできない。むしろ、偏った過剰な対策はスパム行為として弾き出すことも可能だ。公開情報を踏まえたうえで、ユーザーにとって魅力的なサイトになるためにできることをひとつずつ実行し、その結果を測って検証し続ける以外に道はなくなった。

まさに、これこそがGoogleが理想としてきたユーザーファーストの検索エンジンを完成させるために必要な答えだったのではないかと思う。

公開情報を頼りに検証を内製化しよう

原因がわからければ、狙った結果を約束することはできない。これは道理である。仮にうまくいったとしても、それは偶然の産物であり、そこに再現性はない。ましてや、成果を約束するサービスとして売れるわけがない。

とはいえ、検索エンジンから集客ができなくなれば、困る人がいるのは事実だ。売り上げを左右するチャネルになっているがゆえに、是が非でも何とかしたいと思っている人たちは多いだろう。だが、自分にとって都合の良い話を信じてはいけない。それは状況をより一層、悪化させるおそれのある思考回路だ。

もちろん、AIOのすべてが嘘だとは言わない。少なくとも、生成AIの提供事業者が公開しているAIOの情報は存在する。しかし、それ以上でも、それ以下でもない。少なくともGoogleについては、第三者を門外漢にするための措置はすでに完了している。

それゆえ、AIOを実現するならば、システム外の人が語ることに依存せずに、公開情報に基づいた検証を内製化することを強く推奨したい。曖昧なものを外部に任せると、結果に基づかない余計な出費を生むことになる。そんなことをするくらいなら、担当者の給与を上げたほうがはるかに生産的だと、私は思う。

外部の力を借りるとしても、成果を約束する事業者ではなく、一緒に検証してくれる事業者を選びたい。それが、現時点における最も確かな道だと私は考える。次回のコラムでは、だれもがアクセス可能なGoogleやOpenAIが公開しているAIOの基礎について解説したいと思う。

出典

[1] 総務省「令和8年版 情報通信白書」(2026年7月24日公表)

第Ⅰ部第3章第2節「1 アンケート調査結果から推察される現状」

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/html/nd132100.html

第Ⅰ部第1章第1節「(3)利用目的(利用シーン)」図表Ⅰ-1-1-12・Ⅰ-1-1-13

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/html/nd111330.html

付注(調査概要:2026年1〜2月、インターネットアンケート、日本の有効回答1,236人)

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/html/ne110000.html

[2] Google 検索チーム「AI による概要 : ウェブにつながる新しい方法」Google Japan Blog(2024年8月16日)

https://blog.google/intl/ja-jp/products/explore-get-answers/ai-overviews/

[3] Google 検索セントラル「Google 検索の生成 AI 機能向けにウェブサイトを最適化する」(2026年9月23日最終更新)

https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/ai-optimization-guide?hl=ja

[4] OpenAI「Publishers and Developers - FAQ」OpenAI Help Center

https://help.openai.com/en/articles/12627856-publishers-and-developers-faq

[5] Google 検索セントラル「Google 検索ランキング システムのご紹介」(2025年12月18日最終更新)

https://developers.google.com/search/docs/appearance/ranking-systems-guide?hl=ja